OWN INTERVIEW CONTENTS Vol.8 ATOSONE(COMMA VIOLETA / RC SLUM)

OWN INTERVIEW CONTENTS Vol.8 ATOSONE(COMMA VIOLETA / RC SLUM)

OWN(以下、O) まず、ATOSONEさんの自己紹介というか、肩書きを教えてもらえたらと。


ATOSONE(以下、A) RCSLUM RECORDINGSとCOMMA VIOLETAをやってる。

O RC SLUMはクルーですか?レーベルですか?

A レーベルだね。クルーから派生したレーベル。で、その中にmixCDを専門でリリースするROYALTY CLUBってラインがある感じ。最近はCDが売れないね。mixCDが良く売れる。

O ご自身の中で、RC SLUMとROYALTY CLUBは分けて考えていますか?

A  ROYALTY CLUBに関しては、自分の人生のBGMをお任せしたい人たちにオファーしているイメージ。RC SLUMは人のためっていうかラッパーたちのために動かしていて、ROYALTY CLUBは自分本意で動かしている。俺は音楽と生活がイコールなんだ。普段仕事している人たちは、仕事中に音楽聴けるのかって言ったら聴けないことの方が多いと思う。だけど俺の場合は24時間好きに使えるわけだから、音楽は生活の一部としてある感じ。

O 音楽は常に聴いていたいということですかね?

A そう、常に聴いていたい。前にも言ったかもしれないけど、音楽を掛けることのできないようなムードが好きじゃない。「音楽消して」とか言われるムードにならない様に生きてきたからさ。

O それは心掛けていることですか?

A いや、心掛けているわけでもないし、意識しているわけでもないよ。音楽を聴こう!って感じで聴くこともなくて。とりあえず朝起きたらオーディオブースの前に行って音楽を流す。それが家全体に鳴るようになってる。嫁もDJやるから、俺を起こすために音楽を流したりするし。

O 生活に音楽が馴染んでいるんですね。食事や煙草を吸うなどの生活と同一線にあるというか。

A そうそう。音楽って俺の生活のそばにあるものだから、メシ食う時はこれが聴きたいな、煙草吸う時はこれが聴きたいとかがあるんだよね。全てのシチュエーションと音楽がマッチするように生きていたいというか。こないださ、寒くなって空気が澄んできた日中に嫁と車でBUSHMINDの「THE DAYS IN OUR STEPS」を聴いたらめちゃめちゃ良くてさ。目の前の風景とか一緒にいる人とマッチする音楽を永遠に探し続けているのかな。それがROYALTY CLUBかな。

O ATOSONEさんが選曲家をセレクトしている的な。

A そうかもね。

O どうしてそこまで生活と音楽をフィットさせたいのでしょうか?

A 寂しいから。まあでも音楽が流れている空間と流れていない空間だったら、流れている方が楽しいでしょ。


O 音楽はいつから好きになりましたか?

A 俺の親父は家に3000冊くらいあるような読書家でさ。だけど、一切音楽を聴かない人。無音が好きな人。それがめちゃくちゃ嫌で、中学くらいから親父に反発し出して自然と音楽が好きになったのかな。まさかこんなずっと好きでいるとは思わなかったし、音楽でメシを食うとは思ってなかった。

O では、続いてCOMMA VIOLETAについて聞かせて下さい。

A  COMMA VIOLETAは俺がやっている洋服のブランド。2年前から始めた。

O ATOSONEさんが洋服屋だったことも知っていますが、なぜご自身でブランドを立ち上げるという選択をしたんですか?

A 自分が親だと思っている人が洋服作りを辞めたから。アパレルなんて10年前でもやろうと思えばできたけど、その人がやっている以上は自分ではやらないでおこうと決めていたからさ。

O ブランドを始めてみてどうですか?

A 充実しているよ。協力してくれる人も増えたし、工場とかも使えるようになった。今回のシーズンはシルバーアクセサリーも作ってみたり。

O 個人的な印象で恐縮ですがATOSONEさんがいたシーンは思いっきりストリートのシーンだったと思います。ですが、COMMA VIOLETAはそういったシーンとは違う美意識の元で作られているというか。

A カウンターって言うかさ。まあ若い頃に、年上の人たちがやっていることのダサいな、と思った部分の逆のことをやったらこうなった感じなのかも。あと、俺は昔絵を習っていたことがあったんだけど、その時の先生が「芸術は美しくなければならない」って口癖みたいに言っていて。その言葉が印象深かったもんで、表現をするんだったら、なるべく綺麗にしたいっていう思いはあったかな。と言っても、RC SLUMはDIRTYな奴らが多いけどね(笑)。

O (笑)。

A まあでも何かを表現するという意味では周りの皆と同じだと思うよ。バンドもそうだし、OWNの眼鏡も表現の一つだと思う。COMMA VIOLETAに関しては、糸を縫ったりほついたりして作ることもあるし、最近は工場でデニムを作ったりした。結構格好良いものができているな、と自分でも感じているかな。

O 洋服はどういった過程でデザインしていくんですか?

A 単純に言えば、洋服は前身頃と後身頃と袖じゃん。そこに襟を付けるか付けないか、ボタンをつけるかファスナーをつけるか。リブは何を使うのか。それを考えてイラストレーターで型にする。洋服を一回分解してみると色々分かると思うよ。魚をおろしてる気持ちになる。こうなっているんだな、みたいな。今後は資金も増えてきたので、クオリティもどんんどん良くなると思う。

O 洋服自体はずっと好きでしたか?

A 好きだよ。俺の母ちゃんが7姉妹なんだけど、母ちゃんのすぐ上のお姉ちゃんがアメリカから帰ってきてブティックをやっていてさ。結構変わり者で面白い人だった。11人乗りのハイエースの座席を全部外して、ハンガー付けてラックとか鏡も載せて各地を移動しながら洋服売っていたり。裁縫も達者な人で、大量に買い付けた服を自分でいじってリメイクして販売とかもやっていた。その人に可愛がられていたから影響を受けたのかも。でも刺青に関してはめちゃくちゃ怒られたなあ(笑)。

O 最近はどんな洋服が好きですか?

A サーマルはずっと好き。最近は安物を買わなくなったね。ハイブランドと呼ばれるものあるじゃん。やっぱり作りがめちゃくちゃ良いよ。縫製が綺麗だし、単純に使っている糸が良い。Louis Vuittonとかがやっているグラフィックだったら全然勝てるし、俺の方が良いモノを作れる自信があるんだ。でも使っている生地とか糸とかのクオリティが凄くてさ。そりゃLouis Vuitton、PRADA、GUCCIでもダサいものは沢山あるよ。でもベタだけどHermesのバーキンが何で売れ続けるかって言ったら、やっぱりモノが良いもん。歳食ってみて、レザーはイタリアンレザーが良いな、とか色々と感じるようになった。こないだOWNのコラムで赤いスキンコートの話を書いたけど、あれは昔買ったDolce&Gabbanaのコートのことでさ。あれもイタリアンレザーでモノが良い。そういう基準で洋服を選ぶようになってきたかなあ。

O 洋服に関して、ストリートシーンの人たちより早くから自由にファッションを楽しんでいるというか。

A 定番の格好が嫌いなんだ。HIPHOPが好きだったらNORTH FACE着てデニム履いてJORDANやFORCE 1、みたいな。でも洋服は着ている人に似合っているということが大前提だから、似合っていれば何でも良いとは思うけど。

O どんな人にCOMMA VIOLETAの洋服を着てもらいたいですか?

A それは永遠の課題かも。OWNもそうだと思うけど似合う人に買ってもらいたいじゃん。さっき話したハイブランドもターゲットやイメージと違う層が爆買いとかしてるわけだから気にしてもしょうがないな、とは思う。音楽もそうだけど、こっちとしては芸術として良いものを作り続けるしかないよね。

O なるほど。ちなみにATOSONEさんは普段アイウェアを掛けますか?

A クリアレンズが多いかな。サングラスは掛けると照れちゃうというか。でも気分が良いと掛けちゃう。極端な話、洋服は着ないと捕まるけど、サングラスはしなくても捕まらないでしょ。だからサングラスは娯楽というか嗜好品的要素が強いと思う。気分が良い時には掛けたいね。

O 現在のご自身の活動は、メインストリームを意識したりしますか?

A 俺が若かった頃のメインストリームってMOSADとかBALLERSだと思うんだけど、トコナメ君(TOKONA-X)がいなくなってからは明らかにヒラガ(HIRAGEN)が一番格好良かったし、それを皆分かってた。その上で良く接してくれる人もいれば、逆の人もいた。メディアでは俺たちRCはカウンターだ、とか言っていたけど、俺はずっと名古屋にいるから年上の人たちも全員知ってる。だから実際は何にも思っていなくて。それと、最近は音楽の在り方っていうものが変わってきたなと思う。

O それはどんな部分ですか?

A 音楽家なのかYOUTUBERなのか。音楽家なのか芸人なのか。音楽家然としているのは雄一(CAMPANELLA)とかRAMZA、C.O.S.A.。アイツらは純粋に音楽で勝負してるじゃんね。MVやファッションがどうとかそういう話じゃなくてさ。あと古い考え方かもしれないけど、今って1曲単位でリリースして、大体2分くらいでしょ。でもレーベル側の目線で見ると、アルバム単位で作品を出したアーティストは飛躍的に力が上がるんだ。これは絶対そう。音楽家として活動していきたいんだったら、そこは大事にするべきだと思ってる。今は1曲ポンと出してMV出しました、曲もYOUTUBEにアップしています、って感じでしょ。窓口は全部YOUTUBE。そんな奴ら音楽家じゃなくてYOUTUBERだから。CDなりVinylなり、まあ今は配信でも良いから、音楽家としてありたいならアルバムという単位で作品を出すべき。アルバムは約1時間聴いている人の聴覚を奪い続けなきゃいけないわけじゃん。それが1分とか2分だけ、1曲だけとかだったら正直誰でもできるわ、と思う。

O 近年はインスタントなものが多過ぎかなとは感じますね。消費される速度も早いですし。

A しかもアルバムってことはさ、完成した1曲1曲をすぐにリリースせずに自分の中で大事にしている期間があるってことでさ、それも結構重要なこと。だからウチは、アーティストにはアルバムを出すように言っているよ。この後も若いヤツらのリリースが控えているけど、そいつらにもアルバム作れよ、って。

O 最近RC SLUMから若いラッパーのリリースも増えてきましたね。

A こないだ若い奴らを集めたコンピ(『Sooner or Later』)出したでしょ。あそこからの流れだね。神戸にhyunis1000ってヤツがいるんだけど、アイツは天才。クソナイーブで人見知りだけど、ライブがめちゃくちゃ良いんだ。ハタチとか21とかなのかな?そいつもRC SLUMから来年出すよ。もちろんアルバムで。

O 以前「うちのCDは中高生に聴かせたくない。薬物中毒者とインテリに聴いてもらいたい」と発言されていましたよね。

A 俺がアーティストを口説く時に良く言うんだけど、「ウチからアルバムを出してもそんなに枚数は売れない。でも俺のレーベルから出すとレコ屋に並ぶから、レコード屋に日常的に行くような音楽が好きな人に認知されると思う」って。最初の俺の話に似ているんだけど、音楽と生活がちゃんとフィットしている人たちに届くというか。逆に流行っている音楽をYOUTUBEとかで聴いているだけの層には届かないとも思う。でもCDやレコードを買ったりすることが当たり前の生活をしている人たちの耳には入るよ、って。

O なるほど。その”YOUTUBEとかで聴いている層”を省く理由はありますか?

A 明確な理由はないし、意識して省いているわけじゃないんだけど、正直話にならないと思っていてさ。音楽の話ができないというか。BESくんとかカズオ(MC KHAZZ)のラップを聴いたりしたらブーキャンとかSHYNEが思い浮かんだりするよね、っていうのが音楽の話。そういう話が楽しめる人たちに聴いて頂きたい。さっき言ったYOUTUBEとかで聴いている奴らなんて、5年後には音楽聴いてないでしょ。玄人をターゲットにしてきたからこそ、俺のレーベルは長続きしているんだと思う。今年で13年目だよ。

O ATOSONEさんの音楽に対する考えや感覚があったからこそ長く続いているんですね。お話ありがとうございました!最後にインフォメーションなどがありましたらお願いします。

A レーベルも洋服作りもずっと続けるよ。COMMA VIOLETAの服に関してはクオリティの面もどんどん良くなる予定。あと来年の秋までにはブランドのヘッドショップを出そうかなと計画中。ROYALTY CLUBからは今年の12月末にEBBTIDE RECORDSのMICHIOSHKAのmixをリリースする。RC SLUM は1月末にさっき話をしたhyunis1000のアルバムをリリース予定。あと、みっくん(MIKUMARI)のアルバムも出るし、カズオ(MC KHAZZ)のアルバムも出るよ!お楽しみに。

【INFO】
https://www.strangemotel.com/

instagram
@commavioleta

Twitter
@RCSRECS