OWN(以下、O) まず、ikmさんの簡単な自己紹介をお願いできますか?
ikm(以下、i) 今はRIVERSIDE READING CLUBでの活動と、JUST ZINEっていうジンをタイミングで作っていますね。
O 両方の活動ともikmさんの好きなカルチャーが垣間見える気がします。
i RIVERSIDE READING CLUBは個人的には割と日常の延長線上ですね。買って読んでみて面白かった本を友達に「こういうカンジで面白かったよ」って喋るのをSNSだったり色々なところでするというか。小説の感想と言いつつ結局あらすじをなぞっているだけみたいなのってあると思うんですけど、そう言う書き方より、もっとフランクに友達に話す感じでやりたいかなと思っていて。友達に本の話をするときって、あらすじよりもピンポイントなところを話したかったりすると思うんですよ。それよりも、「この本ってあの音楽の話が出てくるんだよね」みたいな。
O その感覚分かります!本の中で、自分のアガるポイントを共有するみたいな。ではJUST ZINEの方はいつくらいからスタートしたんですか?
i 2018年くらいから始めて、最近ちょうど4冊目が出たところですね。
O でもその前からikmさんってジンを発表してませんでしたっけ?
i 出してましたね。ちゃんと作ったのは、ロシアのハードコアやカルチャーをまとめたジンですかね。当時無職でヒマだったんで、インターネット上のロシアのカルチャーをまとめたり編集したりして印刷したやつを作りました。ロシアのストレートエッジバンドとか。それに俺がセレクトした曲をCD-Rに入れて。基本的には友達にあげていて、あとは確かTRASMUNDOと自分のサイトでちょっと売ったくらいなんですけど。
O 今”ハードコア”というワードが出ましたが、やはりikmさんの発するものにハードコアのカルチャーを感じます。ハードコに触れたキッカケは何でしたか?
i 中学でバスケ部に入ったんですけど、1つ学年が上の先輩の家が、学校の裏で超近所だったんですよ。その先輩がハードコア好きで、その人の家に溜まっているときに聴いたのが最初だったと思いますね。SICK IT OF AFF、BIOHAZARDとか。NY系が多かった気がします。
O ハードコアも多様な面があると思うんですが、当時はどんな側面が格好良いと思ったんですか?
i なんすかね、今考えるとトータルで全部格好良かったこと思います。音楽は当然、ファッションもそうだし、聴かせてくれたその先輩も格好良かった。その先輩は1つ学年が上だったので、自分が中3の時には卒業してるんで学校で会わなくなるじゃないですか。で、その後偶然街で会ったらクラスティーズの服装になっていたり。そこからまたクラストのバンドとかも色々教えてくれた人ですね。俺は行けてないんですが、その先輩はLOS CRUDOSの来日公演に行っていて、その流れでLOS CRUDOSのレコードを聴かせてもらったんですよ。その頃には自分の中でハードコアが超格好良いと思っていたし、完全にハマった感じになっていましたね。
O LOS CRUDOS、超格好良かったですよね。その後のLIMP WRISTも。
i LOS CRUDOSのアルバムの音が最高に好きで。レコード屋に行ってPOPに”ロスクルードス直系”とか書いてあったら全部買うみたいな(笑)。それくらいハマってましたね。で、同時期の東京ってスタジオライブシーンが結構盛んだったんです。そこから東京のハードコアのシーンにもハマっていった感じですね。人生でBEST5に入るくらいのライブもその頃観たスタジオライブですね。EXCLAIMやCHARMが新宿のON AIR STUDIOでやったことがあって、それはめちゃくちゃ格好良かった。そいうシーンの物販で販売されているモノって、所謂DIYで制作されているモノが多くて。Tシャツも手刷りで、「こういう作り方があるんだ」って知ったりとか。あと、もちろんジンもあって。今新宿三丁目で「@@@」というお店をやっている方が当時出していたそのジンにも影響受けましたね。
O その頃に影響を受けたハードコアシーン特有のカルチャーが今のikmさんの活動にも反映されていますね。
i 多分そうですね。自然と自分の活動にもそういうノリは出ているかもしれないです。「Tシャツ作っちゃおうよ」的なのもそうだし、何かを自分たちでスタートさせることとか。
O 自分の活動を始めたキッカケって何だったんですか?
i 実はキッカケとかって本当になくて。mixi以前にブログが流行った時期があったの覚えてますか?みんなネット掲示板かブログかどっちかをやったりチェックしたり、みたいな。俺もその頃ブログを書き始めたんですよね。ブログの内容も結局狭いシーンのことだし、外に出てライブを観に行くと、ブログを読んでくれた人に現場で会ったり。今でも繋がっている友達とかって、その頃に出会ってた人も多かったりしますね。
O では元々ブログ等、自分から発信するのが好きだったんですか?
i いや、そこまで大袈裟じゃないし、そんなに構えてないというか。今だったらTwitterをやってる感覚と多分同じですよ。あ、でもハードコアシーンは結構発信してる人が多かった気がしますね。自分の観に行ったライブレポートをブログに書いている人とか、購入したレコードのレビューを書いている人とか。それも今だったらTwitterみたいなモノだったんだなと。なので、そこまで発信するってことを意識していたワケではないですね。
O それは何年くらい前の話ですか?
i 15年くらい前ですかね?あと、ハードコアシーンは演者側だけじゃなくて、聴いてる側の人たちも格好良かったっていうのがデカいかもしれないです。聴いている音楽やファッションももちろんだけど、同時に社会や政治の話もできる、みたいな。そいう側面を含めて格好良いと思えたんだと思います。
O ハードコアのファッションやDIY性、ポリティカルな面など、他にも色々あるとは思うんですが、トータルでぐっと心を掴まれたと言うか。
i ですね。でも当時はそこまで考えてないですけどね。今考えるとそうだったんだな、と思います。聴いてる人、ライブのお客さん含めて格好良い。プレーヤーが格好良いのはもちろんで、聴いてる人たちもイケてるし、色々と活動している、みたいなのも良く考えると珍しいですよね(笑)。
O 確かに(笑)。バンドだけでシーンが成り立っているワケではないというか。では、現在の活動のお話を聞かせて頂ければと思うんですが、現在RIVERSIDE READING CLUBのメンバーを教えて頂けますか?
i 不特定多数としていますね。俺とマーシー君(WDsounds)で朝日新聞デジタルで「好書好日」の連載をやっていて。パーティーはBUSHBASHで、オーナーの柿沼君やPHONEHEADくんとmauちゃん(Snigglers)と一緒やらせてもらってる感じです。俺的には、いつもTシャツをプレゼントしている人はRIVERSIDE READING CLUBメンバーで良いと勝手に思っているんですけどね(笑)。
O 仙人掌さんもメンバーなんでしたっけ?
i 仙人掌君には断られたっすね。入って下さいよ、って勧誘したら「俺なんてまだまだなんで入れないっす」って。
O そうだったんですね(笑)。では最近のマイブームとかありますか?個人的な感想なんですが、ikmさんの中でのブームがリリースするものに反映されているなと、と感じていまして。
i そんな大袈裟なものじゃないですよ。でも最近はマジで消しゴムハンコばっかり彫っていますね。キッカケは『フライデー・ブラック』っていう本があって、その作品のジンを作った人がいるんですよ。その人から、俺が前に書いた原稿を掲載させて欲しいっていう連絡を頂いて。その後に、その時のお礼として頂いたモノの中に消しゴムハンコが入っていて。凄く嬉しかったのと、それを見て自分でも作れるかも、と思ったんですよ。父親が木版画を作っていたこともあって、道具は揃ってるし、できるな、と。
O 今回、OWNの消しゴムハンコもプレゼントで頂きまして本当にありがとうございます!制作過程も知りたいです。
i まず、最初に原画を作って、それをトレーシングペーパーに写します。それを消しゴムに転写して彫っていく流れですね。最近は消しゴムハンコYOUTUBERもいるんで、最初にちょっとチェックしました(笑)。あと、MF DOOMが出てくる小説(トミー・オレンジ『ゼアゼア』)があるんですが、それにぶち上がってしまって、その勢いでMF DOOMの消しゴムハンコを作ったんですよ。それが結構上手くできたこともあって、それでさらにハマっちゃいましたね。最近は色んなお店で消しゴムハンコ専用サイズの消しゴムが売っているので、少し流行っているのかもしれないです(笑)。個人的になんですが、漫画の1コマを綺麗にハンコで再現している人とかのハンコはあんまり好きではなくて。それだとコピーで良いじゃん、って思うし、消しゴムハンコ独特のアジやテイストが良くて。話が少し戻ってしまうんですが、90年代のハードコアのレコードとかって、結構スタンプ文化があった気がして。紙袋とかにもスタンプが押してあったりとか。そのノリもあって。今回のJUST ZINE4は表紙のロゴを消しゴムハンコにしてみました。
O ikmさんって自身のマイブームを周りの人に面白く紹介してくれますよね。
i どうなんですかねえ。でもSNSとかで発信する場合は友達に話てるみたいなノリでやろうとは思っていますね。だから普段使ってる言葉で文章を書くようにしているし。まあSNSは承認欲求ですよ(笑)。
O そうなんですか(笑)。ではJUST ZINEはどのようにスタートしたんですか?
i 最初、「イベントにジンを出して欲しいです」っていうオファーをもらったんですが、スケジュールが結構タイトで、自分一人では絶対間に合わないな、とか思ったんで、周りのみんなに声を掛けて自由にページを作ってもらって制作したのが最初の号ですね。最初の号を制作した4,5年前って結構巷でジンが流行始めていたんですけど、流行りのジンを見ると、俺の思うジンと違うな、と思うことが多々あって。
O ちなみに、それはどんなところですか?
i “ジンを作りたい”っていう動機自体がちょっと違うんじゃないかと思ってしまって。描いた絵とか、書いた文章を見せたいとか、好きな音楽のことを伝えたいとか思ってジンにするワケであって、ジンを作りたいから内容を決めていくっていうのは順序的にも違うんじゃないかな、と。そんな思いもあって、自分の作るジンのタイトルを「JUST ZINE」にしたんですよ。
O なるほど。凄く納得してしまいました。ちなみに、参加者の方々へのオファーはどのような方法でしていますか?
i 遊びに行ったその現場でオファーしていますね。なので基本的に催促もしないんですよ。催促するとしたらまた遊びに行った先で会った時に、「例のやつどうなってまいすか?」って聞くみたいな。メールとか電話で催促って、ジンでやるのは違うかなあ、と思っていて。仕事じゃないし、あくまで遊びの延長線上なので。だから1冊出すのに凄く時間が掛かることもあります(笑)。
O へー!ikmさんのこだわりと言うか、あくまで遊びの延長線上っていう感覚は凄く活動やジンにも現れている気がします。
i 自分が遊びに行った場所で対面でオファーできる人。だから自然と出てくれる人は東京近郊の人ばっかりになっちゃうんです。遊び場で話が決まっていくのが凄く好きなんですよね。俺もイブハウスで頼まれた仕事とかもあったし。あと、今回の4号はコロナで遊びに行く機会も減っちゃったタイミングだったんで、リリースまで時間が掛かったのかもしれないですね。
O 個人的な感想なんですが、JUST ZINEは一貫性もあるうえで新しい表現や人選もあっていつも楽しく読ませて頂いています。
i 凄く嬉しいですね。でもそれは俺の手柄とかでは全くなくて。あくまで”ファンジン”なんで、俺がみんなのファンなんですよ。俺が見たい人にオファーさせてもらっているんです。自分一人でやっているという感覚はないですね。
O オファーの基準もikmさんらしいですね。少しOWNの話もさせて頂きたいんですが、ikmさんはOWNのコラムにも寄稿してくれましたし、ローンチパーティにも遊びに来てくれましたね。OWNのスタートはどう感じましたか?
i いつも同じような場所で遊んでいる人のセンスで、アイウェアのブランドが上がったのは凄く嬉しいですよ。特に俺は目が悪いので普段眼鏡を掛けているし、OWNを使いたいなって思いましたよ。
O ありがとうございます!今実際に使っているのが#02でしたっけ?実際に使ってみてどうですか?
i そうですね、俺は#02を選びました。個人的な意見なんですが、#02はフォルム的に俺が考えているサングラス像を体現してくれている気がしていて。目尻の若干の上がり方とかまさに。俺、自分の着る洋服とかは結構保守的なので、あんまりトバしたデザインじゃなくて、所謂サングラスっぽいのはどれだろう、と考えた時に#02がドンピシャでしたね。#01とも迷ったんですが、#01はクリアレンズを入れてもハマりそうだから、サングラスというよりは眼鏡っぽい印象があって。
O フィット感等どうでしょうか?
i フィットは凄く良いです。なので実際の重量より軽く感じますね。あと、俺は目が悪いから普段眼鏡を使っていて、OWNが初めてのサングラスですね。今後は度入りのサングラスとして使ってみようかな、と考えています。
O では、最後にikmさんのインフォメーションなどありましたら。
i JUST ZINE4が出たばっかりなので、良かったらチェックして下さい。あと、小岩のBUSH BASHでRIVERSIDE READING CLUBのパーティを今後もやると思うので、そちらも宜しくお願いします。
【着用アイテム】
#02 BLACK/GREEN
価格 ¥18,700 (税込)
【INFO】
@ikm
@riversidereadingclub