OWN INTERVIEW CONTENTS Vol.11 横山浩太(FINGER SHAPE)

OWN INTERVIEW CONTENTS Vol.11 横山浩太(FINGER SHAPE)

OWN(以下、O) まず、横山さんの自己紹介をお願いします!

 

横山(以下、Y) 横山浩太です。FINGER SHAPEという名前でサーフボードのシェイプ兼ブランドをやっています。僕は仙台の出身なのですが、前職の転勤の関係で名古屋に住んでみて、良い街だな、と思ったのでFINGER SHAPEのお店を名古屋で始めました。

 

O 前職はどんなお仕事をしていたんですか?

 

Y サーフィンとは全く関係ない仕事ですね。商社マンで、スーツ着てバリバリ営業回るような。

 

O 名古屋以外にも住まれたんですか?

 

Y そうですね。東京に少し住んでいたこともあるし、盛岡もあるし。

 

O サーフィンはその時はもやっていますよね?

 

Y もちろん。サーフィンは10代の頃からですね。最初はプレイヤーとしてサーフィンを始めました。シェイパーになろうとは思ってなかったですね。

 

O コンテストなども出られたり?

 

Y はい。仙台支部の代表で全日本選手権も出ましたよ。キャリアの中で一番良い成績は日本2位になったことがありますよ。中途半端な成績です(笑)。

 

O いやいや、2位も凄いです!

 

Y ロングボードが人気の頃で、20代の半ばですかね。仕事をしながらコンテストに出ていました。で、前職の商社に務める前は古着屋だったりサーフショップでバイトしたり。その後、真面目な仕事をしてみたいな、と思って商社の仕事を受けたらたまたま受かってしまって。

 

O その商社の仕事を辞めた理由は何ですか?

 

Y 調子に乗っていたワケではないんですけど、業績も凄く良くて、仕事自体は順調だったんですよ。自分が岩手から名古屋に来て、業績も倍以上に伸ばしたり。でもそのタイミングで大阪府の職員がタトゥーを入れていて問題なった事件あった。それがドンピシャのタイミングで、会社のコンプライアンスに引っかかってしまったようで…。

 

O どうやってバレるんですか?

 

Y 当時も全国サーフィンしに回っていて、さっきも言いましたけど日本で2位にもなったり。そうなると、名前で検索するとFacebookとかでサーフィンしている時の自分の写真が載ってしまうじゃないですか。服を脱がなければ見えない位置のタトゥーだったんですが、それでが原因でバレまして、総務部に呼ばれて「辞めてもらえますか」と。当時からコンテストやら何やらで給料はほぼサーフィンに注ぎ込んでいたし、住宅も携帯電話も会社支給だったので、ほぼ無一文の状態で放り出されてしまったんですよね(笑)。

 

O 会社に貢献していたのに、凄い仕打ちを受けましたね…。

 

Y そうなんです(笑)。そこから、少し前にサーフボードを削って面白かったな、という経験をしたので、そうだ、シェイパーになろう!と決めて動き出したカンジですかね。でも周りの反対意見は凄かったですよ。サーフィンにはウェットスーツからフィンから色々あるんだけど、シェイパーは神様みたいな存在ですからね。「お前にできるわけないだろ」と散々言われましたよ。

 

O 甘くないぞ、と。それまでにはどれくらいシェイプしていたんですか?

 

Y 全然やってなかったですよ。自分の板をちょこっとやっていたくらいです。ガレージシェイパーレベルですかね。その後も前職に近い仕事で引き抜きの話があったりしたんですけど、入れたタトゥーは消せないし、またクビになる可能性もあるなら、自分の好きなことをやろう!と決めて約8年前にFINGER SHAPEをスタートさせましたね。

 

O 最初からこのお店を立ち上げたんですか?

 

Y いや、最初の1年くらいは大阪にグラッサーの師匠がいて、その人の元に毎日通っていました。その後にシェイプルームを設備した物件を探して、今に至ります。

 

O FINGER SHAPEのショップを始めて、周りの反応はどうでしたか?

 

Y 最初の1年くらいは、今までいちサーファーとして付き合ってきた自分がいきなり同業者になったからなのか、少し冷たいな、と感じましたよ。30代後半40代前半って、男の人生で色々ある時期だと思うんです。上手くいかないことがあったり、周りの環境が良くないとネガティブにもなるだろうし。FINGER SHAPEを始めた時期はそんなタイミングだったから、最初否定的だった人もいましたよ。でも今はそういう時期も終わって、みんなポジティブですかね。応援してくれる人がとても増えました。

 

O では、FINGER SHAPEのネーミングの由来を教えて下さい!

 

Y “FINGER”って聞くと、何となくハンドメイドのイメージだとか、クラフトマン的な印象を持ちませんか?

 

O なるほど。手作業の繊細な印象を持ちました。そういう由来なんですね。

 

Y と思いきや全く違うんですよ。

 

O えっ、違うんですか(笑)!

 

Y (笑)。実は、昔ボードのシェイプをやっている時に、何かの拍子に指の肉が削げちゃったことがあって。何とか完成させた後に、当時の師匠に「この板に名前付けてやれ」って言われて、じゃあフィンガーをシェイプしちゃったし、ということでこの名前にしたんです(笑)。

 

O (笑)。いざお店を立ち上げてみて、横山さんがショップでこだわっている点ってありますか?

 

Y オープン当初はもっとウッド中心の内装で、西海岸的なイメージだったんですよ。でもそのデザインに飽きたというか、居心地が悪くなってきてしまって。白黒のモノトーンって一番モノが映えるだろうし、やっぱりサーフボードが見やすくて映えるようにしてますね。あとは自分が良いな、と思えるもので固めています。

 

O モダンな雰囲気で、ある意味でサーフショップっぽくないですよね。

 

Y そう言ってもらえると嬉しいですね。何となく80年代、90年代っぽいテイストが好きだから、それを反映させた感じ。あと、ここ数年思っているのが、自分が好きだからというよりも、FINGER SHAPEっぽいかどうか、ということを凄く意識するようになりましたね。

 

O ボードのシェイプについて、FINGER SHAPEのコンセプトってありますか?

 

Y あります。今ってレトロテイストだったりクラシックテイスト、オルタナティブサーフボードだったり少し古いテイストのサーフボードが流行っているんだけど、それをそのまま作ってしまうと、乗りにくいし、遅いと思うんですね。でもアウトラインとしてはとても格好良いから、アウトラインは60-70年代の様なテイストにして、機能面に関しては常に最新のものを使う。だからヴィンテージと最新を組み合わせているイメージ。あんまり良い表現じゃないけど、見た目はヴィンテージカーで乗り味はプリウスみたいな。皆んな誰でも良い感じで乗れるよ、っていう。

 

O FINGER SHAPEのボードは、アウトラインだけ見ると「これに乗るのは難しいだろうな」と思ってしまいますよね。でも乗り心地が良いという。

 

Y それは良く言われますね。シェイプを始めた当初は凄く攻めたものを作っていたんですよ。超格好良いんだけど乗りにくい、みたいな。でも乗りやすくて当たり前、そこに見た目も格好良く、っていうのが今のコンセプトですかね。

 

O その考えになった経緯は?

 

Y やっぱりサーフィンっていうものを楽しんでもらいたいという気持ちからですね。あとサーフボードってずっと残るもの。昔のFINGER SHAPEのボードを見つけて乗った人に「FINGER SHAPE調子悪いな」と思われたくないんですよね。いくら10年前のものでも、そう思われるのは嫌なんですよ。うちの板は凄くスピードが出て、しかも乗りやすいぞ、っていうイメージを崩したくないですね。

 

O サーフボードは年間何本くらい制作していますか?

 

Y アベレージ約150本ですかね。2日に1本は作ってますよ。

 

O FINGER SHAPEのボードはリピーターのお客さんも多いですか?

 

Y リピーターの方は凄く多いですよ。やっぱり「乗れた!」とか「この板はスピードが出るな」と思えた板って印象が良いんですよ。サーフボードは13種類あるんだけど、長い板も乗りたい、短い板にも乗ってみたい、と思ってくるんです。それはサーファーの性と言うか。そう思った時に、やっぱりFINGER SHAPEでまた板を作りたいな、と思ってもらえている。凄く嬉しいことですね。

 

O 見た目が格好良いからという理由だけではリピーターにはなってくれないですよね。やはり乗りやすさにも重きを置いているからこそと言うか。

 

Y 結局、サーフィンってどんなに格好良くても、乗れなければ面白くないですから。100%オーダーメイドなので、オーダーしてくれた人の意向に沿うようにしつつ、その人の体型やスキルも把握しながら制作していますね。また、月に1週間から2週間は自分でも全国津々浦々サーフトリップに出るようにしていて。その理由として、現地のサーファーたちと交流もありますが、やはりそのエリアの波の性質を把握したいんですよ。九州の波と東北の波は全然違うし、それを理解せずに同じ様に削ってしまうとダメなんですよ。波の状態を頭に入れるためにも、サーフトリップは自分には欠かせないことですね。

 

O 従来のシェイパーって、その土地に根付いた方がやっていますもんね。そのエリアの波を知っている人にお願いするというか。

 

Y そうそう。サーフショップってそういうものでしたよね。だからこそ名古屋にいる自分は、各エリアの波の状態をしっかりと把握するようにしています。あと、サーフボードをオーダーメイドで制作するって、凄く上級者がやることだと思われている。でも全然そんなことなくて、サーフシェイパーはもっと身近な存在であるべきだと思う。ローカリズムは大事だけど、フレンドリーでありたいですね。

 

O ボードのカラー、ペイントはどの様にやっていますか?

 

Y Instagramを見てくれているお客さんが多いので、「このイメージで」とお願いされることが多いですね。でも枠の太さや細かい部分はより良くなる様にアレンジしたりもします。シェイパーは僕一人ですが、グラッサーは3人の方にお願いしています。湘南に2工場、大阪に1工場です。オーダーしてくれたお客さんが、皆んな「ありがとうございます」と言ってくれるのが凄く嬉しいんですよ。完成しましたよ、と連絡したらすぐに取りに来てくれるし、「ありがとうございます」と言われる。その後、海に行って「気持ちよく乗れました、ありがとうございます」。お客さんの皆さんには、こちらこそありがとうございますと言いたいです。感謝しています。

 

O では、横山さんがホームだと思うエリアってありますか?

 

Y ホームは日本全部(笑)。でも一番印象に残るのは、地元仙台の波ですね。仙台新港、気仙沼とか。凄く特徴的で異質な波です。

 

O では、横山さん的にOWNのスタートはどう思われましたか?

 

Y 最初はenoshi君(ROUGH AND RUGGED)に紹介してもらいました。実際に使ってみたときに、今でのアイウェアの中で一番フィット感が良かったんです。

 

O 嬉しいです!

 

Y それからはずっとOWN#02掛けていますね。あと、レンズのカラーが絶妙な薄さでバイクに乗る時も重宝しています。サーフボードもそうなんですけど、フォルムが綺麗なものは使い心地も良いと思います。OWNのアイウェアはどこからどう見ても綺麗だし、完璧です。

 

O どんなシチュエーションで使っていますか?

 

Y 外出時は基本掛けていますよ。色付きの#02で出掛けて、夜はクリアレンズの#02を掛けたりもします。あと最近は#04にもチャレンジしようかと考えています。

 

O ではインフォメーションありましたらお願いします!

 

Y 最新のモデルは常にリリースしていますので、ショップでもinstagramでもチェックして下さい。あと、グラッサーの方々も高齢化しているので、ゆくゆくはシェイプからグラッシングまで自社で完結できるようにしていきたいと思っています。若い人にも職人になってもらいたいですし。

 

O メッセージ等ありましたら是非お願いします。

 

Y 上手くなきゃサーフボードをオーダーできないなんてことは全くないです。むしろ、自分の身長、体重、体型に合ったものに乗った方が上達は早い。Tシャツも体型がLサイズなのに、MサイズやXLを無理に着るって変ですよね。それと同じでビギナーの方こそ気楽にオーダーの相談をしてほしいです。オーダーして格好良い板持って格好付けてほしいです!ミッドレングス7前後で約20万円、納期が3-4ヶ月になりますので、気になる方は是非ご連絡下さい。

 

【INFO】

FINGER SHAPE

〒466-0857

愛知県名古屋市昭和区安田通7-1-2

052-753-9995

https://www.finger-shape.com

 

 instagram

@kota__yokoyama

@fingershape

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