Tina(Vo)、PeiGen(Gt.Vo)、Vince(Gt)、A-Pun(Ba)、Chris(Dr)
OWN(以下、O) 初めまして!インタビューを快諾してくれてどうもありがとうございます。まず、SPIT!のメンバーの自己紹介をお願いします。
PeiGen(以下、P) 日本のみなさん、こんにちは。SPIT!のギタリスト、PeiGenです!私はバンドのアレンジ部分を担当しています。キャリアとしては、15年ほど前からパンクバンドの活動を始めました。今回SPIT!でリリースしたアルバムは、実は6年ほど前から制作していた楽曲なんです。当時はヴォーカルが見つけられなかったんですが、約2年前にTinaと知り合い、彼女をヴォーカリストとして迎え入れることで、ようやくアルバムを完成させることができました。バンドとしての活動や演奏は久々ですが、より極端なハードコアパンクのサウンドとなっていると思います。
Vince(以下、V) こんにちは。私はSPIT!のギタリスト、Vinceです!SPIT!はツインギターです。
A-Pun(以下、A) みなさん、こんにちは。私はSPIT!のベーシストであり、Selfish Suckerというハードコアパンクバンドでもベースを弾いています。Selfish Sucker は過去に1枚アルバムをリリースしています。私は2000年にパンクを聴き始め、ずっとポップパンクを好んで聴いていました。その後、CasualtiesやExploitedなどに出会い、大学でSelfish Suckerを結成しました。卒業後、Bazookaのギタリスト、Po Weiと出会い、パンクやクロスオーバーメタルについて教えてもらうようになり、自分が本当に演奏したいのは、よりファストなパンクだと気付きました。より速く、よりハードなパワーヴァイオレンスやグラインドコアが好きです。SPiT!では、これまでのバンドとはタイプの違うパワーヴァイオレンスをプレイしたいと思っています。
Tina(以下、T) こんにちは、私はTinaです。SPIT!のヴォーカルを担当しています。
Chris(以下、C) ドラムを担当しているChrisです。去年、娘が産まれたこともあり、少しバタバタしてしまい、SPIT!のアルバム進行が遅れてしまいました。
O SPIT!は何年に結成されましたか?
P 現在のメンバーが揃って活動をスタートさせたのは、2017年からですかね。
O SPIT!結成の経緯を教えて下さい。
C 現在のバンドリーダーのPeiGenと私が出会い、スケートボードで遊んでいるうちに友達になりました。そしてある日、PeiGenから「バンドを組まないか?」と誘われたんですよ。良いアイディアだと思ったので、その誘いに乗りましたが、実は長年ヴォーカルが見つからなかったので、しばらくバンドは解散寸前でしたね。
P SPIT!は私が人生で2つめに組んだパンクバンドなんです。私とベーシストのA-Punは古くからの友人であり、一緒にSelfish Sucker と言うバンドで活動していました。27、28歳のときに新しいバンドを始めたいと思ったのですが、当時は妻が双子の赤ちゃんを出産したばかりで、タイミング的に厳しかったんです。30代に入ってからも、A-Punと絶えず「新しいバンドを組みたいね」と話していたので、スケートボード仲間であるChrisにドラマーとして参加してもらうことにしました。その後、私たちの活動ペースは非常にゆっくりでしたが、曲を書き、ヴォーカリストなしで約2〜3年練習していましたね。そんなある日、私の友人が「Tinaをヴォーカリストとして誘ってみるのはどう?」と提案してくれました。同時期にVinceも誘って、そうして、ようやく現在のSPIT!のメンバーが揃ったんです。
O 私がSPIT!を初めて知ったのは、Twitterで観たライヴ動画でした。とても格好良くて驚きました!
V ありがとう!Twitterで観てくれたライブ動画は、自主企画ではなく、2019年頃開催したスタジオライヴだと思いますね。私たちはかなりラッキーで、周りのサポートに非常に恵まれていました。周りの友人には、Suck Glue Boys、Raw Noise Attack、Twin Peak Records、TaichungのDirty Partyなど、多くのレーベルやバンドがあり、たくさんサポートをしてくれました。
O 日本の新設レーベル「Capture Device」から1stアルバムをリリースすることになった経緯を教えて下さい。
V 2015年頃ですが、私はインディーポップバンドのGlueのメンバーとして活動していました。台北で日本のシューゲイザーバンドのBroken Little Sisterとの共演があり、その時に現在Capture Deviceを運営している肥沼さんに会ったんですよ。彼はBroken Little Sisterのスタッフとして台湾に来ていました。私にたくさん話しかけてくれて、Glueの日本版カセットテープも見せてくれた。Glueをとても好きでいてくれて、さらに肥沼さんはDischord のTシャツを着ていたので、私たちは音楽の趣味が非常に似ていることに気が付きました。その後も私たちは長い間連絡を取り合っていて、私がSPIT!に参加したタイミングで日沼さんも新しいレーベルであるCapture Deviceをスタートさせるところだった。そういった流れでCapture Deviceからリリースする運びとなったんです。
O なるほど!では、SPIT!としてファーストアルバムを作るのは難しかったですか?
V 全く難しい作業ではありませんでした。十分な予算はありませんが、それでもたくさん楽しみながら制作できましたね。友人のMark Young(非点種/ Motorik /河豚子)に共同プロデューサーを依頼し、彼は私たちのためにレコーディング/ミキシングまで行ってくれました。日本のバンドQujakuの水野さんはマスタリングを手伝ってくれました。Capture Deviceが水野さんを紹介してくれたんです。
O アルバムの制作は順調でしたか?制作にエピソードがありましたら教えてください。
V これと言って面白いエピソードはなかったですね。 ドラマーのChrisは全ての楽曲のドラムパートを6時間程度で素早くレコーディングを完了させていたことをよく覚えています。
P このアルバムの約90%は私が書いた曲を軸に制作しています。ですが、自分では思い付かないようなアレンジをバンドメンバーしてくれました。メンバーには本当に感謝しています。今作は私のこれまでのキャリアで最高のアルバムになっています。当然次作はより良くしようと思いますが、現時点ではベストな仕上がりです!
V 私はSPIT!のようなハードコアパンク/パワーヴァイオレンスのバンドで演奏したり、フルアルバムをレコーディングしたことがなかったので、素晴らしい経験になりました。
O SPIT!のファーストアルバムの聴きどころは?
P このアルバムには、ハードコアパンク/パワーヴァイオレンスだけではなく、スラッジの要素が含まれていることに注目して欲しいです。アルバムの楽曲の多くにDビート、グラインドコアなどの要素を落とし込んでいますね。聴いてくれた人たちのお気に入りのアルバムになってくれると嬉しいですね。
O アルバム発売後の反応はどうですか?
P instagramアカウントを始めたのですが、アルバムをリリースした後は多くの国からメッセージを受け取りました。各国からカセットテープやCDリリースのオファーを受け取ることができて本当に良かったです。また、SPIT!のカセットテープをリリースしてくれた台湾のパンクバンド、Suck Glue Boysが5/14に無料ショーを開催し、出演しました。その日は久々にたくさんのファンがモッシュピットを作っていて、とても良い思い出となりましたね。
O SPIT!は Tinaのヴォーカルも大きな特徴だと思います。どんな音楽に影響を受けましたか?
T 正直なところ、このバンドに参加した時は、誰の声にも影響されずただ一生懸命歌いました。その後、他の女性ヴォーカリストを意識的に聴くようになりましたね。例えば、DETESTATION、PUNCH、ADACTA、Exoticaなど。演奏する回数が増えるほど、私の声が低くなるので、他人の歌い方を参考することはめったにありません。
O 曲のタイトルもユニークですね。「石頭」、「I Hate Banana」、「GoDieGo」など。どんな内容を歌っていますか
T 様々なことを歌詞にしています(笑)。子宮の中に住む悪魔の話だったり、バナナが本当に嫌いっていう事だったり。そして友人の裏切り、自由の剥奪についても…。それぞれの曲の内容は異なっていますよ。あ!歌詞カードを作ってCDに入れるべきでしたね、すみません。私は今それを思い出しました(泣)。
V 歌詞のついては、Tina自身の思考のもと書かれています。共同プロデューサーであるマークとのコミュニケーションも良い方向に進みましたね。メンバーも皆んな満足していると思います。
O サウンド面で影響を受けたバンドがいたら教えて下さい。
P 多くのクラストパンクバンドですね。Discharge、Nausea、Skitsystem、Disclose、Diseaseなどが大好きです。Trash TalkとCeremonyがリリースした最初の2枚のアルバムにも非常に影響を受けています。今名前を挙げたこれらのバンドがSPIT!に最も影響を与えたと言えます。
O 好きな日本のバンドはいますか?
P 私の好きな日本のバンドは、DISCLOSE、GAUZE、UNHOLY GRAVE、KLONNS、Eat Shit and Die、CLOWN。また、最近、UniteAsiaでONLY THE LAST SONGというバンドを紹介しました。instagramのメッセージを送ってみたのですが、残念ながら返事がありませんでした(笑)。
A SLANG、BBQ CHICKENS、Viscera Infest、Unholy Grave。
T 1980年代頃の日本ニューウェーブ/ポストパンクは魅力的だと思います。ZELDA、招き猫カゲキ団、Mon Mon Club、AuntSallyなど。私は最近、NON BANDが40年振りにリリースした2ndアルバムのレコードを購入しました。変わらず魅力的な作品でした。
V 銀杏BOYZ、イースタンユース、ゆらゆら帝国、ナンバーガールズ、アドバンテージルーシー、ランプ、サニーデイサービス、チャーチオブミザリー、チャゲ&ASKA。あとは友達のバンドたち。
C L'Arc〜en〜Ciel(笑)。私は台湾で彼らのコンサートを観ましたよ。
O では、最近チェックしているバンドがあれば教えてください。
T ケンドリック・ラマーの前作。
P 最近私がお気に入りのパンクバンドをいくつか紹介できれば。BOAK、ONLY THE LAST SONG、GEL、SPY、SLANT、SHEER MAG、EAGLE TWIN、SPEECH ODD、WORLD PEACE、HETH、SPY。また、WORMROTのニューアルバムも本当に楽しみにしています。
A 同じくWORMROT。
V 家主/田中ヤコブ、Pharmacist(JP)、Fury、Third face、Lyrical School、Heresy、Ratcage。
C しまじろうですかね。最近娘と一緒に見ています(笑)。
O 台湾のパンクシーンの現状を知りたいのですが。
V 台中は台湾の中心地で、Defeated the Giantというバンドがいて、高雄のバンドDeadpanを仲が良いですね。彼らはYouth of Today、Have Heart、Turnstileが好きで、イベントの開催に情熱とエネルギーを持っています。 結成まもないスクリーモバンドであるFlin、Eyeball Killer(眼球殺手)なども活動しています。台北では、Toxic Blad(河童鄉)、L-Schema、Accomplices(共犯結構)、Suck Glue BoyらとSPIT!は一緒にライヴをしていますね。
P 私にとって台湾パンクは、私の古い友人たち何人かが社会運動を始めたときだと考えています。政府に対して不満を投げかけるために、2001年頃に無料のショウやDIY形式での作品リリースがありました。今までのルールではなくより反政府を意識したパンク・レジスタンスです。そこから、アルバムやライヴだけでなく、当時はブログなどを通して知り合った仲間たちと一緒にシーンを作ることを目指しています。
O では今後のSPIT!の活動について教えて下さい!
V 現在コンタクトを取っている最中の海外レーベルがいくつかありますが、まだ進行中の段階です。また、現在台北と台中で2、3回のライヴ予定があります。近い将来、日本でライヴできることを願っています!
O インタビューに答えてくれてどうもありがとうございました!
SPIT!一同 こちらこそありがとうございました。感謝しています!
【INFO】
bandcamp
https://capturedevice.bandcamp.com/album/spit