OWN(以下、O) 以前僕がMEGAさんにインタビューしたのって、JUSWANNAが『BLACK BOX』をリリースした時なので……。
MEGA-G(以下、M) 14年前!やばい(笑)!
O やばいですね(笑)。改めて宜しくお願いします!
M 宜しくお願いします!
O では、まずMEGAさんのプロフィールを改めて教えて下さい。
M MEGA-Gと言う名前でラップしてます。東京は大田区出身で、今年でラップ始めて25年ぐらい経ちます。ラップをし始めた頃から渋谷のクラブをうろちょろしていたんで、そこから色々と繋がっていきましたね。
O 活動初期はUBG(URBARIAN GYM。1997年頃にZEBBRAを中心に結成)クルーですよね。
M そうです。UBGを経由して、ZEBBRAの弟のSPHEREたちと一緒に活動したりしつつ、そこから自分で少しづつソロ活動をしようと思っていたタイミングで、DJ DOMMONを通してLibra Recordsの作品に参加することになって、そこから自分の作品をリリースするようになっていきました。Libra在籍中に自分でBOOTBANG ENTERTAINMENTという自主レーベルを立ち上げました。その後クラウドファンディングでソロアルバムもリリースしましたね。で、2019年に初めて完全に自分の資金だけで『Re:BOOT』というソロアルバムを出しました。
O キャリア25年ですもんね。様々な動きがありますね。
M そうですね。で、『Re:BOOT』を出すタイミングで足を骨折してしまい、長く入院してマインド的にもかなり落ちていたんですよ。仕事もできない状態で結構腐ってました。そんなタイミングで、MSCのマネージャーをやっていたムッソ君から「また一緒に飲食店を一緒にやらないか」という話を頂いたんです。
O タイミングバッチリですね。以前もムッソさんと一緒に飲食店をやっていましたよね?
M はい。一番最初は五反田のステーキ屋さんでムッソ君と一緒に働いていました。その後、ムッソ君は独立して池袋でSTEAK HOUSE DOUBLEというお店を始めて。僕はそのタイミングで飲食の仕事を離れたんですよ。その頃に子供を授かったので、運送関係の仕事など真面目な仕事をやってみたりしました。でも、そういう仕事をやっていると飲食店の良さをいつも思い出しちゃうんですよ。
O それはどういったことですか?
M 飲食店は凄くダイレクトにリアクションが分かるんです。単純に美味しければ「美味しかったよ」と感謝される。その幸福感みたいなのが他の仕事ではやっぱり得られなくて。
O なるほど。飲食店の思い出が残っていたと。
M そうなんです。そんなタイミングだったので、ムッソ君から頂いた話に乗って、もう一回飲食店で頑張ってみようと思ったんです。
O 最初からステーキ屋ではなくて、ハンバーガー屋をやろうと思ったんですか?
M いや、最初はSTEAK HOUSE DOUBLEの姉妹店という話だったんですが、自分的にはステーキより手軽に楽しめるモノが良いなと思っていたんですよ。そういう事を考えているうちに、ワンハンドで食べられるハンバーガーって良いな!と思い始めたんです。
O 肉料理でありつつ、手軽に楽しめる感じがありますもんね。
M そんなところに魅力を感じたんですよ。テイクアウトして外で音楽聴きながら食べたりとか最高じゃないですか。
O なるほど、確かに。
M あと、実はもうひとつキッカケがあって……。テレビ東京で放送されていた「女子グルメバーガー部」っていう深夜番組なんです(笑)。
O マニアックそうな番組ですね(笑)。
M (笑)。可愛い女の子がハンバーガーを食べに行くっていう番組なんですけど、毎週観るほどハマっちゃったんですよね。でもそういう番組に出てくるハンバーガー屋って、アメリカンではあるんですけど、自分の好きな感じのお店ではなくて。
O あぁ、ウエスタン調だったりオールディーズ的な感じのハンバーガー屋ですよね。
M まさにそうで。自分の好きなHIP HOP的なハンバーガー屋って皆無じゃないですか。だったらそれをやろう!と。
O そういった経緯で、このJUICY BURGERに繋がっていったんですね。
M はい。ただ、イメージは固まったんですが、僕は全くハンバーガーを作ったことがないっていう問題があったんです。でもイメージが固まってるなら勢いでやってしまおうと。
O おぉ!でもステーキ屋のバックボーンもあるし、メニューにもかなりこだわっていますよね?
M もちろんです。パティの肉の配合バランスも当然そうだし、バンズも何種類もサンプルを試したり。肉、野菜の乗せ方もかなりこだわっていますね。"肉感が最初にガッとくるのか、それとも後追いでくるのか"とか。豚肉と牛肉の配合やスパイスの調合も、オープン前日までムッソ君と試行錯誤していました。あと新宿ホルモンで働いているMARTにもスペシャルアドバイザーとして入ってもらったり。
O オープン時にMEGAさんの目指すハンバーガー像みたいなものはあったんですか?
M 何となくはあったんですが、とにかく最初はやりながら勉強する感じでしたね。お客さんや友達が食べた時の反応を見ながらブラッシュアップしていきました。人気のないメニューは削り、人気あるものでも味付けを変化させてみたり。細かなことではあるんんですが、野菜の切り方も変化をつけたりしながら今も試行錯誤しながらっていう感じです。
O 話が少し前後してしまうんですが、MEGAさんの思う"HIP HOPとハンバーガー論"がありましたら教えて下さい。
M それはもう店内に飾ってあるこの写真がめちゃくちゃドンピシャだと思いますね。これはかなり有名な写真ではあるんですが、ビギー(Notorious B.I.G.)が一番最初にPuff Daddyと契約したときの写真。Notorious B.I.G.とCraig Mackで"BIG MACK"になっていて、そのハンバーガーの箱の中に契約書が入っているっていう。やっぱり僕の中でビギーって自分のラップのルーツだし、この写真でHIP HOPとハンバーガーの組み合わせにヤラれたし、インスパイアされましたね。
O この写真はインパクトありましたよね。ちなみにアメリカのハンバーガー屋はどんな感じなんですか?
M 僕が東側しか行ったことがないので何とも言えないんですが、NYのハンバーガー屋はHIP HOPが流れていて凄く地域密着型のイメージ。バーガースタンドみたいな店が多いんですが、フラッと立ち寄って街角で食べる、みたいな。日本にこんなお店あったら良いのにな、とは思っていましたね。
O MEGAさんの中で、やっぱり音楽の要素も大事だったんでしょうね。
M ですね。HIP HOPをベースにグッドミュージック。自分が格好良いと思う音楽が店内に流れているのは前提としてありました。当然ハンバーガー屋ではあるんだけど、ちょっとしたレコード屋さん的なテイストも。なので、店内で流している音楽が分かるように”NOW PLAYING”ってPOPも作ったりしています。格好良い音楽が聴けて、ハンバーガーも最高に美味しい、っていうのが理想ですね。
O では、JUICY BURGERのこだわりポイントなども教えて下さい。
M 自分の2ndアルバムが『ORIGINAL SOUNDTRACK FROM THE M.E.T.S. LIFE』という名前だし、NY METSのブルー×オレンジがフェイバリットカラーなので、お店にもそのカラーを使っています。あとは自分が見てきて格好良いと思ったNY感を全部フュージョンさせた感じですかね。最近は外国人のお客さんも増えていて、NYから来たお婆さんに「日本のお店でWu-Tang Clanのロゴを見るとは思わなかったわ」って言われたり、(店内BGMの)Black Moonで首を振ってる老夫婦に「最高だ」って言われたり(笑)。
O 最高のエピソードですね(笑)。
M あと、スピーカーにもこだわってますし、店内にある写真なんかもHIP HOP好きにはグッとくるはずです。
O では、まだJUICY BURGERに行ったことのない人にオススメメニューBEST3を教えてもらいたいです!
M 了解です!3位は「ベーコンエッグバーガー」ですかね。パティ、卵とベーコンという組み合わせなので、パティダブルまでいかなくても満足感があってオススメです。このバーガーは雑誌の「POPEYE」に紹介されたんですが、めちゃくちゃお客さんが来てくれました。一時期はベーコンエッグバーガーしか作ってないんじゃないかくらいの勢いでしたね(笑)。
O 「POPEYE」パワー凄いですね(笑)。
M 2位は「ダブルチーズバーガー」。これはもうハンバーガー界の王道って感じだと思いますよ。チーズバーガーでは物足りないっていう人には絶対オススメ。女性の人でもガッツリ食べたい人は結構オーダーしてくれますね。
O では1位をお願いします!
M 1位はやっぱり僕の名前を掲げた「MEGA-Gバーガー」ですね。パティ2枚の下にハラペーニョを敷いて、上にはチリビーンズを加えたの看板メニューです。男も女の子もガッツリ食べたいんだったらコレ!って感じでオススメしてますね。
O ありがとうございます。MEGAさんのリコメンドを聞いてるだけでお腹減ってきました(笑)。
M 僕の店は最近流行りの"映え"重視のグルメバーガーを気取っているワケではなくて、どちらかと言えば庶民的なお店でありたいと思っています。地元の大田区で店をやっているし、頑張って何とか高くなり過ぎない価格帯にしています。やっぱりフッドに根差した飲食店でありたいんです。若い人もおじいちゃんおばあちゃんも買ってくれるような。
O このエリアはMEGAさんの地元ですか?
M モロ地元ですね。ママチャリの同級生が「しっかりやってんの〜」みたいに来るし(笑)。HIP HOP4大要素には入っていないけど、"地元と仲間"っていうのはHIP HOPに凄く大事なことだと思うんです。内装もラッパーのSAWが大工として働いているので手伝ってもらったし、たくさんの仲間が協力してくれて成り立っていますね。
O 素敵です!MEGAさんのHIP HOP観がJUICY BURGERで体現されていますね。では、ここからはラッパーとしてのお話も伺わせて頂ければと思います。自分の映像チームkook filmでエミシ君(rkemishi)のMVを制作した時に、BESさんとMEGAさんもfeat.で出演して頂きましたね。
M そうですね、ありがとうございました。実は今、そのBES君とアルバムを作っているんです。と言うかユニットを組んだんですよ。"THE A.R.T."っていう名前で。
O マジですか!
M HELTAH SKELTAHに『D.I.R.T.』っていうアルバムがあるんですが、意味は"Da Incredible Rap Team"なんですよ。そこからインスパイアされて、THE A.R.T.は"Amazing Rap Team"です。
O MEGAさんが発案者ってことですか?
M そうです。最初に名前を思い浮かんで「アメージングなラップをするヤツといえばBES君しかいない!」となり、声を掛けたら引き受けてくれました。BES君もHELTAH SKELTAH大好きだし(笑)。
O これはかなりアツいタッグですね!どんな内容のアルバムになりそうでしょうか?
M ゴリゴリのHIP HOPアルバムになると思います。若者にはないオジさんにしかできないHIP HOPをやるつもりです。そこに自分の思うアートを落とし込めたらな、と。
O MEGAさんの考えるアートってどういったイメージですか?
M 最近ストレートなラップを耳にすることが多いんで、僕はもっとアーティスティックなラップをやりたいんですよね。比喩表現やメタファーを上手く使ったり、ある人物を思い浮かばせながら表現したり。自分の思う自分好みのラップを大切にしたいな、と。
O トラックメーカーも決まっていますか?
M SCRATCH NICEがメインで、MASS-HOLE、NAGMATIC。あとまだ話を進めている最中なんですがDJ HONDAさんも計画中です。
O かなりハードコアなHIP HOPアルバムになりそうな予感が。
M そうですね。ラップの方もBES君が相方であり対戦相手なので、負けたくねえっていう気持ちでスキル的にも最高到達点を目指そうかなと思っています。
O リリース予定は決まっていますか?
M 年内にはリリースする予定ですので、楽しみにしていて下さい!
O ではJUICY BURGERのインフォメーションがありましたらお願いします。
M 夏に向けた新メニューも色々と仕込んでいます。シェイクを始めたり、前にスタッフとして働いてくれていたMULBEが広島に戻って、レモンを送ってくれるのでそれを使ったレモンスカッシュとかも販売中です。バーガーの方も随時新メニューは考案中です。季節の野菜を使ったハンバーガーなども良いな、と色々考えているので、こちらも楽しみにしていて下さい。
O BESさんとのユニット以外にも、ソロ活動でのインフォメーションはありますか?
M 自分がSPHEREのアルバムに参加してから、今年でちょうど20年目なんですよね。更に今年がどうもHIP HOP生誕50周年で、8月11日が誕生日との事なんですよ。節目だし、日本にもHIP HOPを愛しているヤツがいるぜ!っていうところを見せられるような作品をリリースしたいな、と計画中です。
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