OWN(以下、O) まず本田さんのプロフィールを教えて下さい!
本田(以下、H) 元古本屋店主で、今は温泉旅館の支配人です。箱根翠泉という旅館です。
O 肩書きが支配人ってめっちゃ格好良いですね(笑)。
H 今のところ完全に名前負けしちゃってますけどね(笑)。
O 今お話に出た古本屋さんってFeeverbugですよね?
H そうです。
O 今Feeverbugはどんな状態になるんですか?
H 今は休止状態ですね。
O 僕も綱島の店舗にお邪魔させてもらったこともあるんですが、入口にスケートデッキあったり、音楽関係のマーチャンダイズも豊富で面白い古本屋さんでした。Feeverbugはどんなコンセプトでやっていたんですか?
H 当初はあくまでも普通の街の古本屋をベースに自分の好きなもの、古本屋にあったら違和感のあるものを忍ばせて、ふらっと入ってきたお客さんをギョっとさせたり、近所の子供に軽いトラウマを植えつけられたらなってコンセプトがあったりしたんですが、気づけば違和感ばかりが溢れかえってしまったというか……歯止めが利かなくなってしまったというか……(笑)。店内で音楽イベントしたりだとか……(笑)。ものすごく楽しかったんですけどね(笑)。ちなみにFeeverbugの名付け親はUG MANの河南さんで、僕からお願いしたんですが、Fever=熱、Bug=虫、造語なんです。熱帯の虫、熱帯の虫ってあり得ない色だったり形してて違和感ありますよね?あと本の虫ともかかってたりしてコンセプトとも絶妙にリンクしていてとても気に入っています。
O Feeverbugをやっていた頃の印象的な思い出などありますか?
H 人と人の出会いの場、交流の場として機能してくれたのは凄く嬉しかったし、やりがいを感じていました。BUSHMINDのトラックでR61Boysがラップをした「Feeverbug」って曲が生まれた事はその事の象徴のような気がしていますし、初めて聴かせてもらった時の感動は忘れませんね。あとは今現在、翠泉で一緒に働いている机君(dsq)とも最初の出会いはお客さんとして来てくれていたのがきっかけですしね(笑)。
O なるほど。どういった経緯でFeeverbugから翠泉へ移行していったんですかね?
H やはり当初の構想とのギャップはあって行き詰っていたのはありますね。そんな時に翠泉プロジェクトの話を頂いて、宿泊業をやるなんて考えてもみなかった事なのでかなり長いこと悩んだんですが未経験者である事の強み、今まで培ってきたことを活かせれば個性的な宿が創れるのではないかと思い参加させてもらうことにしました。
O 箱根って温泉のメッカですよね。その中で、翠泉が他と違うポイントなどあったら教えてほしいです。
H 自分はさっき話した通り宿泊業はド素人なんですが、翠泉をどんなコンセプトにしようかな?と考えた時に、最初に思い浮かんだのは”自由な空間”っていうこと。例えば、食事付きの旅館だと食事の時間に合わせて、行動しなければいけないから、やりたいことが制限されてしまったりしますよね。
O ああ、確かに。朝も掃除の関係で起きないといけなかったりしますもんね。
H そうそう。だから翠泉ではご宿泊いただく際に煩わしいと思うような事をできるだけ排除したかった。自由にくつろげる別荘みたいな宿にしかったんですよね。
O せっかく泊まるならゆっくりしたいっていう人も絶対いますよね。
H おくつろぎいただけるコンテンツはこちらでご用意して、あとは自由気ままにのんびりお過ごしいただければと。スタッフはそのためのコンシェルジュのような位置づけですね。
O 本田さん的に推しのコンテンツはありますか?
H まずは2階のラウンジルーム。自宅から持ってきたレコードやカセットテープが結構な数あります。ソフトがアナログなので機材もDENONのターンテーブル、YAMAHAのカセットデッキ、SANSUIのプリメインアンプにDIATONEのスピーカーという構成で、自由に触って頂けます。懐かしがってくれる年配の方もいれば、若い人は初めて触るって言って喜んでくれたり。
O 良いですねえ。泊まる場所でこういったものを楽しめるのは斬新ですよね。
H あと、シェアキッチン/ダイニングルームも活用して頂きたいコンテンツですね。
O ダイニングルームがある旅館っていうのも新しいな、と思いました。
H 翠泉では朝食はサービスで焼き立てのパンとスペシャルティコーヒー、スープ、ソフトドリンクをお出ししてるんですが、夕食に関しては提供がないので、外食や持ち込み、またはこのシェアキッチン/ダイニングルームを利用して調理して頂く事もできます。
O 民泊のようなスタイルですね。
H ゲストハウスや民泊では多いスタイルだと思います、温泉旅館では珍しいかもしれないですね。
O あと、アートが多数飾られているのも特徴的だな、と感じました。
H 箱根は多くの美術館があって、アートとの結びつきが深いんですよね。
O 有名な美術館もありますもんね。彫刻の森美術館とか。
H でもそれはクラシックなものと言うか教科書に載っているような美術が多くて。もちろんそれが悪いと言う意味ではなく、また別の、自分が好んで慣れ親しんできたアートにも触れてもらいたくて館内には多くの作品を飾ってあります。ゆくゆくは翠泉でアートショウをやりたいと思っています。
O めちゃくちゃ面白い試みだと思います!
H 翠泉に展示している作者の方々(DISKAH、JOJI NAKAMURA、松井一平、MOTOY、阿部健、大柴裕介、NOISE、UC EAST、KTYL、NEUDAZE(敬称略))は生活の中で、ライフワークとして絶えず作品を創り続けています。自分は現行のアートの何が良いかというと作者と直接話せることだと思うんです。教科書に載っている偉人達とは話せませんから。だからこそそういった機会/アートショウをやりたいんですね。
O 先ほどの本田さんの言葉を借りると、教科書載らないものって、知らずに生活している人が凄く多いですもんね。なかなか知る事ができないと言うか。
H 美術館がたくさんあって、美術に興味ある人がたくさん来る箱根だからこそ、様々なジャンル、スタイル、価値観や見方があってもいいと思いますね。あと、このラウンジルームなどはお客様同士の出会いの場、交流の場であったりしたら良いなと思っていて。そのキッカケがレコードだったり、こういうアート作品だったりしたら凄く嬉しいですね。
O 凄く良いと思います!やっぱり場所ありきですよね。
H そこはやはりFeeverbugに通じている部分だと思います。出会いの場、交流の場であり、そこにクラフトビールがあって、少し酔いも手伝って知らない人と話してみようかな、みたいな出来事があると良いですよね。
O キッチンやラウンジの評判はどうでしたか?
H 一昨日利用してくれたお客様は、食材を持ち込んでご家族で鍋を楽しんでいたり。その前に見かけたカップルのお客様は、ドアを開けてラウンジでレコードを流しながらキッチンでカレーを作っていました(笑)。
O 最高です(笑)。ちなみに、温泉にこだわりもあるんですよね?
H 温泉旅館である以上、自信をもっておすすめできるお風呂をご用意してます!まず、あまり知られていないかもしれませんが温泉って生もので時間が経つと鮮度が損なわれるのですが、翠泉は自家源泉かけ流しですので、温泉はすこぶる新鮮です。その温泉に、ナノバブルと言う10億分の1メートルの泡(超微細気泡)をミックスした「ナノバブル温泉」がこだわりのお風呂です。
O おお!温泉湯とナノバブルをミックスさせると、どういった効能があるんですか?
H ナノサイズの泡を分かりやすく例えると毛髪の1/80、要は毛穴よりも小さいサイズなんです。さらにこのナノバブルは微細なため浮力も小さく、浮上も破裂もせずに水中に浮遊し続ける特徴があって温泉が本来持っている還元作用がより促進されるなどで、健康増進や美容効果がより効果的に発揮されます。って言われてもいまいちピンときませんよね(笑)。でも実際に体感していただければ温浴効果だったり肌感で違いを実感していただけると思います。このナノバブルを導入している温泉施設は箱根では翠泉のみ、全国的に見ても極稀ですので、ぜひ一度体感していただきたいです。胸を張っておすすめできる自慢のお風呂です!
O 本田さんの周りのお友達もたくさん翠泉に来ていますね!
H OWNのインタビューを受けた方だと今里さん、enoshiくん、大柴くん、昨年行ったイベント「アンビエント温泉」の際にikmくんが来てくれました。あと翠泉のロゴを書いてくれたGAHO、開業準備を手伝ってくれたCHANGYUU&BABYSITTER。本当ありがたいことに名前を上げると切りが無いのですが、河南さん、DISKAHさん、WACKWACK村上くん、松井一平くん&AKI TSUYUKOさん、KAKくん(86ed/JLC)、酒井くん(OMR)&AIMIさん、ERA、BUSHMIND、KRBT、NOISE、YANG(FIO)、HANDS&CHIKA(BROWNBAG)、寺町くん(幻の湖)…まだまだ書ききれないほど……。翠泉を開業した年はコロナ禍まっただ中で色々と予定通りにいかない事も多々あったのですが、友人が大勢来てくれた事は本当に励みになりました。
O OWNでも次の2023 SPRING/SUMMERコレクションでロケ場所としても使用さえて頂きましたね。本当にありがとうございました!
H こちらこそ声をかけてくれて本当に嬉しかったです。モデルとしての大柴くんの仕事ぶりも初めて見れて感動しました。普段の大柴くんそのもの(笑)。それで写真になるとあの色気。本当にカッコ良いですよね。
O では、OWNのサングラスを使って頂いていますが、使い勝手はどうでしょうか?
H 自分は#01のサングラスを使っていて、凄く重宝しています。普段はSHURON社のSIDEWINDERとFREEWAYを度入り眼鏡として使っているんだけど、それと同様にクラシカルなデザインで自分の好みに合っている形ですね。車に乗る時は必ず掛ける愛用品になっています。
O 凄く嬉しいです!では、最後にインフォメーション等ありましたらお願いします!
H 今回初めてこういう場でFeeverbugから翠泉への経緯をお話ししたんですが、Feeverbugに遊びに来てくれていた皆さんには楽しんでいただける温泉宿だと思いますので是非翠泉にもお越し下さいね(笑)。自慢の温泉をたっぷりと溜めてご来館お待ちしております!
【INFO】
箱根翠泉
〒250-0405
神奈川県足柄下郡箱根町大平台254
https://www.suisen-hakone.com/
Instagram @suisen_hakone